東方神起 日本2ndアルバム『Five in the Black』

2007年3月14日

東方神起は日本で2枚目のアルバム『Five in the Black』をリリースした。日本デビューから約2年後のことであった。

収録曲

1. ZION
2. Sky
3. Begin
4. Choosey Lover
5. DEAD END
6. High Time
7. PROUD
8. 約束
9. miss you
10. “O” -正・反・合
11. I’ll Be There
12. Step by Step
13. Hello again

アルバムタイトルの由来

アルバムタイトル「Five in the Black」の由来はダーツである。

通常ダーツは1回につき3本の矢を投げるが、一番最高点を叩き出すのは3本のダーツが全て真ん中に刺さることで、これを“3 in the black”という。ただし東方神起は5人であるため、5本の矢が命中するという意味が込められている。

タイトルを決めるにあたってはスタッフからいくつか提案をもらい、メンバーと話し合って決めたそうだ。

ジェジュン:ダーツの的の中で、一番点数の高いのは真中の黒い部分ですよね?そこに、全部の矢が命中したという意味が込められているんです!

ユンホ:このアルバムを聴いてくれる人の胸に5本の矢が突き刺さるというイメージなんです!

雑誌「BARKS+plus」2007年Spring号

初公開曲について

当アルバムの初公開曲は、リード曲『Choosey Lover』に加え、『ZION』『DEAD END』『約束』『I’ll Be There』『Hello again』である。

『Choosey Lover』はシングルカットされており別記事で紹介しているため、当記事では残りの5曲について以下で紹介したい。

『ZION』は天国や平和な場所という意味。『DEAD END』とともに日本で初めて挑戦するロック曲である。それまでの東方神起までにない曲調のため、5人ともイメージを変えて歌うことを心掛けたという。

発声の感じから変えて歌ったんです。スクラッチする部分が多かったので、いつものようには伸ばさず、強く吐き出す感じで歌いました。『ZION』と『DEAD END』では同じ感じの苦労をしました。(ジェジュン)

雑誌「BARKS+plus」2007年Spring号

『DEAD END』は行き止まりや行き詰まりという意味である。『ZION』がヒロイックな歌詞を疾走感をもって歌うのに対し、『DEAD END』は迷いながらも突き進む内容の歌詞で、より重さと力強さを表現する曲となっている。

DEAD ENDという言葉にまつわる思い出として、ジェジュンは印象的なコメントを残している。

――DEAD ENDなとき、自分でこれは絶体絶命だ!ってなったことは?

「いつもは大丈夫ですが、韓国で仕事が忙しくて、なかなか寝ることができない時がありました。そして、ご飯もいっぱい食べることができなかったときは、死んじゃうと思いました。死ななかったですけど(笑)」(ジェジュン)

雑誌「ARENA37℃」2007年4月号

『約束』は当アルバムに入れることが最後に決まった曲である。

アルバムの収録曲の中で一番優しい、やわらかい雰囲気の曲です。(チャンミン)

雑誌「月刊アピーリング」2007年3月23日発行

『ZION』『DEAD END』『約束』は2007年2月にレコーディングされた。それ以外の収録曲は2006年12月時点でレコーディングを終えていたが、2007年2月に『ZION』と『DEAD END』をレコーディングして、一旦全ての曲を並べてみたときに、ダンス曲が多かったためバラードの『約束』を追加することになったという。

東方神起は1stアルバム『Heart, Mind and Soul』でバラードを印象付けており、継続してバラードを歌っていくことは2ndアルバム制作当初からのメンバーの希望でもあった。

アルバムのバランスを考えたときにも、やっぱりもう1曲バラードっぽい曲があった方がいいし、僕達もバラード曲をもう少し増やしたいという思いがあったので、スタッフさんと相談して、この曲を入れることにしたので。(ユンホ)

雑誌「BARKS+plus」2007年Spring号

1枚目のアルバムは、日本に初めて来たときからアルバムを出すまでの思い出を詰め込んだ感じだったんですけど、2枚目は、ライブやツアーもやって、自分たち的に歌いたいと感じる歌をうたわせてもらった感じでした。(ジェジュン)

雑誌「WHAT’s IN?」2007年4月号

1stアルバムの制作時は、アルバムの流れや構成にメンバー自身の意見を反映させるまではしていなかったとされる。上記の引用にもあるように、そこから1年間の経験を活かした結果が2ndアルバムであり、その意味で『約束』は成長したメンバーの意思を示す役割を持っている。

『I’ll Be There』は、原曲は韓国の3rdアルバム『“O”-正・反・合』に収録されている。当アルバムではその日本語版が収録された。

『I’ll Be There』は韓国のアルバムにも入っているんですが、今回は雰囲気が少し違っています。基本的にはだいたい同じなんですが、日本語バージョンの方がもっとやわらかい雰囲気があると思います。比べながら聞いてくれたらいいかなと思います。(ユンホ)

雑誌「月刊アピーリング」2007年3月23日発行

『I’ll Be There』はちょうど風邪を引いた時にレコーディングしました。だから、鼻水が出そうになって、発音もいつも以上に気をつけました。(中略)僕は風邪引いたら音が取りづらくなるので、そこは苦戦しました。(ジェジュン)

雑誌「ARENA37℃」2007年4月号

『Hello again』にまつわる思い出

アルバムの中で好きな曲として、5人が全員一致で挙げたのが『Hello again』だ。同曲には5人の特別な想いが込められている。

『Hello again』は去年のクリスマス・イヴにレコーディングしたんです。日本で、ずっと僕達と一緒に暮らしてくれていたマネージャーさんが、この日が最後だったので、最後にみんなでコーラスをしている部分があるんですけど、そのマネージャーさんにもコーラスに参加してもらって一緒に歌ったんです。だから、5人の中ですごく思い出に残る曲にもなったんです。(ユチョン)

雑誌「BARKS+plus」2007年Spring号

本当に“また会おうね”というリアルな“Hello again”が、この曲には詰まっているんです!(ジュンス)

雑誌「WHAT’s IN?」2007年4月号

ジェジュンは『Hello again』について、2007年の「Five in the Black」ツアー以降は歌っておらず、公の場で口にすることもなかった。にも関わらず、2019年に自身がレギュラー出演するラジオ「POP★A」でこの曲をかけたことは、リスナー、特に東方神起の時代をよく知るファンからは驚きをもって迎えられた。

古家:今年最後のジェジュンさんの登場するPOP★Aなんで、年末を象徴するような一曲をお願いします。

ジェジュン:はい。ホントに希望的で…この曲を聴くと、明るい過去の思い出を思い出すような曲ですね。皆さん聴いてください、東方神起で『Hello again』。

NHKラジオ「古家正亨のPOP★A」2019年12月18日放送

曲が終わると、DJの古家氏はジェジュンが東方神起を経て歩んできた年月の重みを慮るように、しみじみとした口調で語りかけた。

古家:2007年ですよ。

ジェジュン:2007年。

古家:はい。

ジェジュン:12年前。わぁ~。

古家:曲のアレンジ自体も、その当時のものをね、思い出しますよね。

ジェジュン:(嬉しそうに)うふふ…流行ってた音ですね。

NHKラジオ「古家正亨のPOP★A」2019年12月18日放送

“年末を象徴するような一曲”とあって、ジェジュンは12年前のクリスマスに『Hello again』をレコーディングした時の、メンバーやスタッフとの温かい時間を思い起こしたのではないだろうか。ラジオでのジェジュンの穏やかな口調は、“流行ってた音”という言葉以上の思い出を感じさせるものであった。

1stアルバムからの成長

日本デビューから約2年が経過し、メンバーらは1stアルバム『Heart, Mind and Soul』の時と比べて日本語が上達し、また音楽の幅も広がったことで自身の成長に手応えを感じていたようだ。そんな彼らのコメントを以下に紹介したい。

シングルももちろんなんですけど、アルバムを作るたびに、自分達でできることがだんだん増えていっていることを実感しています。今回のアルバムでも、いままでにはない曲を歌えたことで、たくさんの可能性が見えてきたんです。(ジェジュン)

雑誌「BARKS+plus」2007年Spring号

僕たちも最初の頃はレコーディングも1曲録るのに3日、4日かかっていましたが、最近は少し早くなってきました。2日くらいが多くなったかな。だいぶ慣れてきました。(ユンホ)

雑誌「月刊アピーリング」2007年3月23日発行

前は1行ずつ意味がわからないと、確認して覚えて、そして歌を覚えてという感じで、時間がかかりましたが、今は確認しなくてもわかる日本語が増えましたから、前よりはだいぶ楽になりました。(チャンミン)

日本語はホントに前よりはやりやすくなったんですけど、もっと全体的な曲の感情とか歌い方をよくするということをみんな深く考えていたと思います。(ジュンス)

雑誌「ARENA37℃」2007年4月号

CD・DVD

CDのみのバージョンには、ボーナス・トラックとして『Begin -アカペラversion-』と『miss you -ballade version-』が追加されている。CDのみの初回限定盤には『A Whole New World』も追加されているが、初回限定盤は中古市場でも流通が少ない。

DVD付きのバージョンは『Rising Sun』『Begin』『Sky』『miss you』『“O” -正・反・合』『Step by Step』『Choosey Lover』の7曲のPVが収録されている。

雑誌

アルバム「Five in the Black」について詳しく掲載されている雑誌はこちら。いずれもインタビューはジェジュン個人のものとメンバー全員のものが組まれており、写真も充実していておすすめだ。

カテゴリー

, ,

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA