東方神起 日本 PREMIUM MINI LIVE

2007年9月22日

2007年8月1日に発売したCD『SUMMER〜Summer Dream/Song for you/Love in the Ice〜』(以下『SUMMER』と表記)の購入者イベントとして、PREMIUM MNI LIVEが開催された。

日程および開催地

9月22日 横浜(横浜Blitz)11:30 / 14:30(2公演)
9月23日 横浜(横浜Blitz)13:00 / 16:00 / 19:00 (3公演)
9月25日 大阪(なんばHatch)17:00 / 20:00 (2公演)

特別な購入者イベント

CD『SUMMER』の購入者イベントは2つある。一つは8月に開催されたSummer Touch会、もう一つがPREMIUM MINI LIVEだ。

Summer Touch会は、CDの帯に付いているイベント共通券を会場に持参すれば、誰でも1枚につきメンバー1人と1回ハイタッチができる。

一方PREMIUM MINI LIVEは、イベント共通券2枚で抽選に1回参加でき、その中から当選した人だけが招待される。したがってSummer Touch会よりも参加できる確率が低い。

PREMIUM MINI LIVEの内容は、ソロ曲の発表が予告されていたものの、詳細は事前には明かされていなかった。

日本では、それまで東方神起メンバーのソロ活動は行われたことがない。ソロという珍しさと、当選者だけの限定感が相まって、文字通りプレミアムなイベントとして開催された。

セットリスト

Summer Dream
My Girlfriend(ユチョン ソロ)
Maze(ジェジュン ソロ)
WILD SOUL(チャンミン ソロ)
Rainy Night(ジュンス ソロ)
Crazy Life(ユンホ ソロ)
SHINE

日本で初のソロステージ

東方神起はセトリの1曲目で『Summer Dream』を歌い踊るとすぐに舞台袖にはけて行き、代わりに会場のスクリーンに5人のコメント映像が流れ始めた。

ジェジュン:今日は、いつものコンサートと何か違う感じがします…

ユンホ:それは…今日は初めて見せるんですけど、ソロステージがあります!!

5人:イェ~~~!!(拍手)

Premium Mini Live コメント映像(CD『T』付属DVD収録)

コメント映像の中で、メンバーらは各自のソロ曲を順に紹介し始めた。

トップバッターのユチョンは、自ら作詞し、しかも歌詞の全てが英語のラブソング。

続くジェジュンは、はにかみながら『Maze』を紹介。

僕の曲は男の人の迫力がすごく感じられる、そういう曲なんですけど、ロックですね、ジャンルは。(ジェジュン)

Premium Mini Live コメント映像(CD『T』付属DVD収録)

チャンミンは、音域の広さを生かしたパワフルなポップ・ロック。

ジュンスは、自ら作曲し、編曲にユチョンが携わったバラード。

ユンホは、ヒップホップ調の激しい振り付けを伴うダンス曲。

全員がそれぞれの個性を生かした選曲であり、言うまでもなく後年彼らが展開するソロ活動の原点の一つとなるステージが始まった。

ロック曲『Maze』

『Maze』はヘビーメタル調の激しいギターサウンドで始まる。

冒頭からギターが生み出す圧倒的な重量感とスピードに乗って、ジェジュンはステージに飛び出した。

うって変わってハードなナンバーを届けるジェジュン。「Maze」というタイトルどおり、彼らのファンにとっては少しとまどいすら感じさせる楽曲。というのも、後ろにバンドが見えるくらいロックなのだ。これは、ジェジュン本人が「僕たちのイメージを壊したい」と思って制作した一曲なのだという。

雑誌「WHAT’s IN?」2007年11月号

実際『Maze』は東方神起からかけ離れたスタイルの曲で、聴く側のノリからしても、ペンライトや手拍子よりもむしろ拳を振り上げる方が似合う。

ボーカルも、それまでのジェジュンのスタイルとは全く異なるものだ。

当サイトの他の記事で何度か触れたように、ジェジュンは従来のグループ活動において、細く柔らかい発声方法を見出し、自分らしい声として磨き上げてきた。

ところが『Maze』でジェジュンが太く張り上げる歌声は、そうして築いてきた自身のイメージすら覆すものだった。

ソロキャリアの黎明

東方神起は韓国では幾らかソロステージを経験しており、当イベントが全くの初めてというわけではない。

そこで当イベントの意義を理解するために、これまでの彼らのソロ活動歴を振り返ってみよう。

「Rising Sun」コンサート「O」コンサートなどの単独公演では全員のソロステージがあり、各メンバーとも有名アーティストの楽曲を使ってパフォーマンスを行った。

この時ジェジュンは『パルコルム』や『Crying』など韓国のロックバラードを披露。ユチョンは例外で自作曲『ヨウビ (Like Weather…)』を歌ったが、同作はライブおよびライブCDのみの収録であり正式なリリースはされていない。

ソロで正式発売された作品はいずれもOSTで、ジェジュンの『インサ(あいさつ)』やジュンスの『Beautiful Thing』がある。が、これらのライブパフォーマンスは非常に少ない。

総合すると、オリジナル曲で、自身の世界観やスタイルを表現し、7回もの公演で連続してパフォーマンスをするというのは、PREMIUM MINI LIVEが初めてということになる。

そんな新たな挑戦に挑むメンバーらの心境はどのようなものだったのか。

PREMIUM MINI LIVEに密着したTBSチャンネルの番組は、ライブ初日の最初の公演を終えた彼らのリアルな様子を伝えている。

一人のステージの緊張感は止まらないですね。(ジェジュン)

すごくソロのステージが難しいって、今日、肌で感じました。(ユチョン)

明日明後日くらいになったらどうにかなるかもしれないですけど、今日の緊張感はしょうがないですね…止まらないですね…ただ“頑張らなきゃ”という気持ちだけですね。(ジェジュン)

TBSチャンネル「東方神起 独占密着!プレミアムミニライブ&インタビュー ’07秋」2007年11月11日放送

メンバーらは緊張が落ち着く間もなく、少しの休憩をはさんで2回目の公演へと向かっていった。

過密日程を走り抜ける

ここで前述の日程を見返した読者は、「初日に2公演をやって翌日に3公演もやるなんて大変そうだ」と感じるに違いない。

しかし驚くべきことに、東方神起は初日の2公演が終わるとすぐさま韓国へと飛んだ。その日の夜、ソウルでアジアソングフェスティバルに出演するためである。

そのような過密日程が本当に可能なのか検証すると、横浜で初日の2公演が終わるのが15時台。アジアソングフェスティバルは、開始は18時だが東方神起の出番は最後。

羽田~金浦間の航空便を利用し、一刻の遅れも許さないギリギリの移動をすれば、間に合うということになる。

忙しい移動の様子は、前述のTBSチャンネルの映像で見ることができる。

初日の2公演をダンス曲『SHINE』で締めくくると、メンバーらが汗だくで舞台裏に戻ってきて、その汗を拭く間もなく、タオルを片手に慌ただしく移動に出発するというもの。

そして翌日は早朝の便で日本へ到着。同じ横浜の会場に、何事もなかったかのように戻っているのだ。

先に発表されていた予定はPREMIUM MINI LIVEだったので、後からアジアソングフェスティバルが日程に追加されたと考えられる。

かなり強引ともとれるスケジュールだが、とにかく彼らは『Maze』のごとき疾走感で全公演をやり切った。

個への自覚

記念すべき日本初のソロ曲にロックを選び、パフォーマンスに臨んだジェジュンは、自身の心境をはにかむように語った。

(ロックというジャンルは)初めて挑戦してみた音楽なんですけど、なんか歌う事だけでは何回か一人でも練習でも何回か歌ったことはあるんですけど、ステージの上でそういうふうに本気でやったのは初めてだから、どういうふうにやるかすごく困ったんですけど…頑張りました。(ジェジュン)

TBSチャンネル「東方神起 独占密着!プレミアムミニライブ&インタビュー ’07秋」2007年11月11日放送

(照れながら)周りの人たちは結構、めずらしいって、そういう反応が出たんですけど、そういうめずらしさを、皆さんに見せたいですね。(ジェジュン)

Premium Mini Live コメント映像(CD『T』付属DVD収録)

インタビューに応えるジェジュンの表情は、個を語ることに気恥ずかしさでもあるのか、どことなくシャイな印象を与える。

その実、東方神起とかけ離れたスタイルのロック曲を選んだことは、ある意味で最も個性的な選択だ。

そこでインタビュアーは、ジェジュンの実像により迫ろうと、普段から聴く音楽について尋ねた。

意外にロックはあまり聴いていないですね。歌うのは好きなんですけど、そんなには聴いてないですね。(ジェジュン)

TBSチャンネル「東方神起 独占密着!プレミアムミニライブ&インタビュー ’07秋」2007年11月11日放送

今度はジェジュンは、さほど迷いのない様子で答える。

普段聴くのが他のジャンルであるにも関わらずロックを歌うというのは、一見矛盾しているが、ジェジュン本人にとっては自然なことだったのかもしれない。

これまでジェジュンはロックに対する思いをメディアで詳細に語ったことがほとんどなく、前述のインタビューでもさらに深い追及はされなかった。

それゆえ、ジェジュンがなぜロックを選ぶのか、当時真に理解できたファンは少なかったのではないだろうか。

メンバーが与える影響

PREMIUM MINI LIVEのソロ企画は、ソロだからと言ってそれぞれが孤独に準備をしていたわけではない。

ジェジュンの『Maze』の誕生秘話について、メンバーらは次のように語る。

この曲、正直言えば、僕が選んであげました、ジェジュンに。初めて聴いてから、あっこれだ、この曲で行きましょうって。(ジュンス)

(ジュンスに)やったね!やりました!(ユンホ)

DVD『History in Japan Vol.3』

ソロ企画にあたって、ロックというジャンルを選んだのはジェジュン本人の意思と思われるが、曲選びの局面でジュンスが後押ししたということであろう。

ジュンスは、ジェジュンに似合う曲を彼なりに理解していたのかもしれない。

こうした協働性は他のメンバーの場合にも見られる。例えばユチョンの『My Girlfriend』は、レコーディングの待ち時間に、他のメンバーも見ている中で歌詞を書いたという。

また、ジュンスの『Rainy Night』もメンバーらのチームワークから生まれた。

(Rainy Nightは)ライブでは、ジュンスが作曲した曲にユチョンがアレンジを加えて披露したんです。(ジェジュン)

雑誌「PATi PATi」2007年12月号

以上のように、ソロに挑戦し自らの個性を見出す過程において、傍らにはメンバーの存在があったことも書き添えておきたい。

CD

『Maze』は翌2008年のTRICK企画で正式にリリースされた。

DVD

9月23日の横浜公演の映像は、アルバム『T』の2CD+2DVDバージョンに収録されている。

上記のアルバム『T』と同じ映像が『History in Japan SPECIAL』にも収録されている。

『History in Japan Vol.3』には、PREMIUM MINI LIVEを振り返るユンホとジュンスの対談が収録されている。

雑誌

ワッツインにはPREMIUM MINI LIVEのライブレポートが掲載されている。

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