2004年10月11日
10月11日から10月20日にかけての10日間、東方神起は米国ロサンゼルスを訪れ、MVや写真集の撮影ならびに現地の音楽祭への出演を行った。
初めてのアルバム発表
2004年10月、『HUG』と『The Way U Are』の2つのシングルの活動が一段落した東方神起は、初めてのアルバムの発表に向けて準備をしていた。
これまでの道のりを振り返ると、まだデビューから1年にも満たないが、ジェジュンの人生がデビューによって激変していたことが分かる。
歌手になるという中学生時代からの夢を叶え、デビューするやいなや新人でありながらもスターとなり、放送や公演に駆け回る日々。
カシオペアと呼ばれるファンダムができ、大手企業のCMも幾つも決まった。
もちろんこのような人生の変化は東方神起の他のメンバーたちにも言えることである。
シングル『HUG』と『The Way U Are』の2作がどちらもヒットしたことで、国内ファンからはいよいよ正規アルバムの発売が待ち望まれていた。
ただし東方神起の向けていた視野は国内だけにとどまらない。
正規アルバムの準備期間中にも、彼らは中国でのプロモーションのため上海や大連に公演に訪れ、さらに水面下では日本進出の準備も始まっていた。
ロサンゼルスへ出発
“アジアから世界へ”という願いを込めて付けられたグループ名の通り、海外へ向かう使命を持った東方神起。
その記念すべき正規1集は『TRI-ANGLE』と『ミドヨ(I Believe)』の2曲で展開されることとなった。
今日が『Hug』と『The Way U Are』に続き、正規1集の『ミドヨ』と『TRI-ANGLE』が初放送される日!!
徹夜しながら新しい振付とライブの練習をした時間が頭の中を通り過ぎて、ついに僕たちの舞台を披露するこの瞬間!
明日は音楽活動以来初めてアメリカLAに行くことになります。
久しぶりに余裕ある休息の時間も過ごし、『ミドヨ』のMV撮影、写真撮影もして、アメリカにいる韓国人の皆さんのために公演に参加して、東方神起の威信を掲げて戻って来ます。
書籍『東方神起 The First Photobook Travel Sketches in Los Angels』 2005年 当サイト訳
10月10日、東方神起はテレビ『SBS人気歌謡』でアルバム曲の初披露(カムバック)をすると、すぐその翌日にロサンゼルスに向けて飛び立った。
初めて訪れるロサンゼルスの旅程は10日間。
MVを撮るだけでなく、市内を観光してリフレッシュしたり、現地のコンサートにも出演、そしてその旅行全体を写真集として作品化するという企画である。
ロサンゼルス観光
この旅行から生まれた写真集は2つあり、一つはアルバム『TRI-ANGLE』と連動して発売された『TVXQ! 3rd STORYBOOK in Los Angeles』、もう一つは翌年発売された『東方神起 1st Photobook』である。
メンバーらがロサンゼルスで体験した刺激的な10日間を追うため、これらの作品を覗いてみよう。
わぁ~ついにLAに着いたよ。全身で感じる余裕のある気分。こんな休みの時間を頂いてとても幸せだよ… ときめく気持ちで入国手続を終えてゲートを出たら、目の前で僕たちを歓迎するパールレッドの風船!
(中略)ホテルに移動して荷物を整理していよいよ始まる旅行初日!Let’s go Universal Studio!!
書籍『東方神起 The First Photobook Travel Sketches in Los Angels』 2005年 当サイト訳
初日のユニバーサルスタジオでは、アトラクションに乗ったりショーを見たり。
2日目はアウトレットモールでショッピングをしながら、バーガー店でセルフサービスの食事を楽しむ。
3日目は自然の綺麗なスポットで写真撮影。
4日目はハリウッドの街歩き、そしてLAのビーチの中でも最も有名なヴェニス・ビーチへ。
5日目はSix Flags Magic Mountainという遊園地で絶叫マシンに挑戦。別の日にはディズニーランドへも出かけた。
このように観光で目白押しの夢のような旅程をファンも一緒に楽しめるように、前述の写真集には5人の自然な表情や仕草が数多く詰め込まれている。
もちろんメンバーらにとっては観光といえども仕事であり余暇ではないのだが、旅行特有のワクワク感は作品に十分に表れている。
例えばアメリカが人生での初めてのジェジュンは、記念撮影でメンバーらとおどけてみたり、アトラクションに乗って頭を抱えたりしながら、滅多にないほど顔をクシャクシャにした笑顔を見せているからだ。
『ミドヨ』MV撮影
この旅行のメインイベントの一つである『ミドヨ(I Believe)』のMV撮影は、海岸沿いにある別荘風の邸宅で行われた。
ハリウッドのような賑やかな観光地ではなく、自然に囲まれた静かなリゾートが『ミドヨ(I Believe)』には相応しいという判断だったのであろう。
MVは広々とした空間で朝日を浴びてゆったりと目覚めるシーンから始まり、空と海に囲まれ胸いっぱいに息を吸い込みながら歌うシーンへと続く。
“君を想うこの気持ちを信じるよ”という歌詞のメッセージとともに、開放的で光に満ちたMVの世界観は、東方神起とファンの向かう道を表しているのかもしれない。
アメリカでの初ステージ
この旅行のもう一つのメインイベントは、初めてアメリカで公演に参加すること。
今回東方神起が出演したのは韓国系アメリカ人および在米韓国人が集う音楽祭「Korean Music Festival」である。
この音楽祭はコリアタイムズという韓国系の新聞社が主催しており、ハリウッド・ボウルという著名な野外音楽堂で2003年から開催されている。
韓国人のアメリカへの移住は1980年代から継続的に盛んであり、増え続ける韓国系アメリカ人の人口は2000年代には170万人に達していた。
アメリカの各都市の中で、最も韓国人が多く移住したのがロサンゼルスとその近郊で、同地域における韓国系の人口は諸説あるが25万人とも30万人とも言われる。
その大きな韓国人コミュニティが中心となり、音楽の本場ハリウッドで韓国の音楽を楽しめる機会を作ろうというのが「Korean Music Festival」の趣旨である。
10月16日、音楽祭当日のハリウッド・ボウルは多くの来場客で熱気に満ちていた。
LAにいる韓国人の方たちがすごく沢山いるし、韓国の歌手の方々もとても沢山来ています。その中に僕達はいるんです!(ジェジュン)
書籍『東方神起 The First Photobook Travel Sketches in Los Angels』付属VCD 2005年 当サイト訳
メンバーらは黒いスーツ風の衣装にドレスアップしてバンに乗り込み、会場に到着した。
緊張感が高まる移動や楽屋でのオフショットは映像にも残されている。上記のジェジュンの言葉はその時のものだ。
ステージ本番、東方神起は『ミドヨ(I Believe)』と『The Way U Are』を披露。
歓迎するLAの来場客の中には、韓国国内の東方神起ファンと同じ赤い風船もちらほら見える。
舞台中に誰もケガをせず無事に終わって本当によかったです。(ジェジュン)
書籍『東方神起 The First Photobook Travel Sketches in Los Angels』付属VCD 2005年 当サイト訳
公演後に楽屋に引き揚げてきたメンバーらは緊張が解けたのか、カメラに向けた笑顔はいくぶんほっとしているようだった。
タトゥーを入れる
ロサンゼルスでの滞在中、ジェジュンはある重大な決心をしたようである。
初のアメリカ公演の時、自由時間をもらったんです。ハリウッドの通りにタトゥーの店があって一人で入って彫ってもらいました。(ジェジュン)
映画『ジェジュン:オン・ザ・ロード』2021年
20歳でアメリカへ行った時、東方神起のイニシャルを背中に彫りました。僕たちのグループが誇らしくて。高校生活を楽しむべき時期に必死に働いた日々が無駄にならなかったわけです。“この過去は一生忘れちゃダメだ”と。消すつもりもないし生涯大切にしたいです。(ジェジュン)
映画『ジェジュン:オン・ザ・ロード』2021年
この時にジェジュンが彫ったタトゥーは後年のファンにも良く知られている。
2021年の映画『ジェジュン:オン・ザ・ロード』で語ったように、彼がデビュー1年目にロサンゼルスで刻んだ思いは、長い年月が経過した現在でも生き続けているようだ。
書籍
音楽と連動して発売されるストーリーブックは『HUG』と『The Way U Are』に続く第三弾。2004年11月に発売された。本品は外箱の中にパンフレット状のフォトエッセイ、アルバムCD、VCD、ポスター、円形カード、ステッカーが封入されたセット。ロサンゼルス旅行の様子はフォトエッセイだけでなく、VCDの映像にも収められている。
こちらは2005年2月に発売された写真集で、VCD、ミニポスター、カシオペアストーリーブックが付属している。ロサンゼルス旅行だけをとってみると、前述の『TVXQ! 3rd STORYBOOK in Los Angeles』よりも写真が多く、映像も長い。
映像作品
映画『ジェジュン: オン・ザ・ロード』
2021年に公開されたジェジュンのドキュメンタリー映画。初めてのアメリカ公演でタトゥーを彫ったエピソードについて語っている。Blu-rayはこちら。